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第143回 奨学金VS教育ローン(2012年12月05日)

Q.教育費が足りなくなった場合に、奨学金と教育ローン、どちらを利用した方がいいのでしょうか?

A. 二つの大きな違いは、お金を借りて返済するのが、奨学金は原則学生である子供本人であり、教育ロー ンは親である点です。
親の経済的事情などで大学進学が困難な場合、子供本人の意思で教育を受けられるために奨学金は創設され、教育ローンは親の意志で子供に教育を受けさせたいが、生活状況から教育資金捻出が困難な場合に借入するものです。

さて、手元資金で教育費が賄えない場合に、奨学金か教育ローンかの利用を比較すると、まず先に考え たいのは、金利面で優遇が高い奨学金です。 奨学金で最も広く使われているのは、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金で、入学時や在学時に学生本人が借りて、卒業後に本人が返すしくみです。

第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)の2種類あります。学業成績と家計の所得要件の基準が設けられ、両方とも満たすことが前提です。

第一種奨学金は学力基準が高校在学中の成績偏差値が3.5以上等の基準(第二種奨学金では平均以上の成績)と厳しくなっています。第二種奨学金の金利(下記表)は「利率固定方式」(貸与終了時の利率が返還完了まで固定)と「利率見直し方式」(5年ごとに利率が見直し)で、申し込む際にどちらかを選択します。また卒業までに変更もでき、上限は3%です。在学中や返済期間猶予中(本人が災害や傷病による返還困難な場合で返還猶予が認められた場合)は無利子となります。

平成23年度 第二種奨学金 貸与利率一覧(年利%)
※当月中に貸与終了した者の貸与利率

  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
平成19年4月以降の
採用者
基本月額 利率固定
方式
1.47 1.27 1.27 1.27 1.27 1.27 1.17 1.17 1.27 1.17 1.17 1.17
利率見直し
方式
0.56 0.5 0.4 0.5 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4

*独立法人日本学生支援機構のHPより抜粋(平成23年度貸与利率一覧)

無利子の第一種奨学金は学業成績のハードルが高く狭き門でありますが、第二種奨学金の金利でも、他のローンと比較しても低く魅力的です。 しかし、第二種でも基準に満たないなど奨学金の利用ができなかった場合は、教育ローンの検討をしてみましょう。教育ローンは入学手続き以外にも、学費支払い後の利用やその都度利用できるなどの自由度も高さはメリットです。
教育ローンの中でも有利な借入先は、国の教育ローンである、日本政策金融公庫の「教育一般積立」です。その他の教育ローンの一例と比較してみてみましょう。

<教育ローンの一例>

  日本政策金融公庫
(国民生活事業)
みずほ銀行 損保ジャパン
クレジット
種類
教育一般貸付
教育ローン
E500
金利タイプ
固定
固定・変動
固定
借入金額
学生1人につき
300万円以内
学生1人につき
300万円以内
学生1人につき
300万円以内
借入期間
15年間*1
10年間
6ヶ月から7年
(半年単位)
現在の金利(注)
年2.65% *2
変動 年3.475%
固定 年4.6%
年3.2%
保証料
年1.0%相当分
不要
金利に含まれている
特徴
-
-
年収700万円以上の方対象

*1.交通遺児家庭または母子家庭の方は借入期間18年以内に延長
*2.母子家庭の金利は年2.25%

教育ローンの場合は親の返済能力がきちんとあるか審査されますので、もし親が借金している場合など、借入状況によっては教育ローンの審査も難しいこともありますので注意が必要です。ただし、親の借金状況にかかわらず、奨学金は利用可能です。

受験費用や入学費用などの出費が終え、春になると税金の支払いなども続き、家計がピンチになる家庭も少なくありません。中にはお金のやりくりができずにキャッシングに頼ってしまう方もいらっしゃいますが、奨学金や教育ローンを事前にリサーチしておくことが必要です。奨学金制度も各学校で個別に違いますし、教育ローンの中には受験シーズンになると各金融機関でのキャンペーンもあります。こまめにチェックすることで、より条件の良い教育費が確保できるかもしれません。

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この記事担当のFP

水野 圭子 みずの けいこ

ファイナンシャル・プランナー
CFP(r)(日本FP協会認定)
1級FP技能士
K'sプランニング 代表
一般社団法人あんしんLifeコミュニティ 代表理事。


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