答えて応えて!FP

第126回 面白いローンの歴史(2012年08月06日)

Q.年配の人は月賦という言葉を使いますが、ローンと同じ意味でしょうか?

A.月賦とは毎月支払っていく事を言いますが時代の変化に伴い呼び方が変化しました。

 戦後から日本にはそれぞれの時代に三種の神器と呼ばれる家電製品や耐久消費財がありました。
◆1950年代 三種の神器「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」
◆1960年代いざなぎ景気時代 新三種の神器「カラーテレビ・クーラー・車」
 全ての頭文字にCがつく為、3Cとも呼ばれた。
◆2003年頃〜 デジタル三種の神器「デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型液晶テレビ」
◆2004年頃〜 キッチン三種の神器「食器洗い乾燥機・IHクッキングヒーター・生ごみ処理機」

 これらを現金で手に入れた方はどの位いるでしょうか。バブル経済以降は日本人も皆裕福になり現金で購入できる方も多くなりましたが、戦後から1970年代あたりまではローンを利用して手に入れたものです。当時はローンと呼ばずに月賦(げっぷ)と呼んでいました。高度成長を支えてきた昭和30年台までに生まれた方にとっては「月賦」という言葉は馴染み深いことでしょう。戦後のまだ皆が貧しい時代にはとても現金で買える代物ではなく、月賦は庶民の味方でした。
 その後、分割払いの普及が始まり、更にバブル時代に突入し所得も増え月賦の存在が希薄になったとされています。更にクレジットカードの普及が始まりカード時代が始まりました。

 消費者金融の歴史にも触れてみましょう。大昔から金貸しが存在したことはご存じだと思います。日本では庶民がお金を借りる時は「質屋」を利用していました。数は減りましたが今でも質屋は健在しています。着物や腕時計といった高価なモノを担保にお金を借りていました。しかし日本が豊かになりモノが溢れるにつれ、モノの価値は下がり中古品ではお金を融通できなくなり質屋自体の経営も苦しくなってきたとされます。不動産など担保になるモノを持たない人々に対しては「人の信用」でお金を貸すシステムと変化してきました。1970年代頃からはサラリーマン金融の略語として「サラ金」他にも「街金」と呼ばれるようになり、今でも「消費者金融」というより、「サラ金」のほうがしっくりくる方は多いのではないかと思います。

 銀行や信販会社の発行するカードでもCDやATMを利用してキャッシングできるようになり、更に1996年にアコムが自動契約機「むじんくん」を設置してからは、普通の人でも借りやすい時代が来ました。カード地獄や多重債務が問題視されるようになったきっかけと言えるでしょう。またバブル崩壊に伴い、借金が増えたり生活水準を下げれない人々の利用も多かったと思われます。
 こうなるともうローンの存在自体がは「庶民の味方」ではなくなってきて、浪費や借金を過熱させる道具になってしまったと言わざるを得ないでしょう。もともとの庶民の味方だった「月賦」を思い出し自分と周りが幸せに豊かになる為の道具としてローンを利用してほしいものです。

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この記事担当のFP

二宮 清子 にのみや きよこ

日本FP協会会員 ファイナンシャルプランナー(AFP)
家計の見直し・節約・貯蓄の重要さ、更に運用の必要性を伝え、
強い家計にできるようにサポート、また住宅ローンアドバイザーの資格も取得し、
住宅購入をきっかけにお客様のライフプランのアドバイスを行っている。


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