答えて応えて!FP
第055回 「二重ローン」問題とは?(2011年11月26日)
Q,東日本大震災被災者の二重ローン問題について教えてください
A,震災被害者のための「個人版私的整理に関するガイドライン」が策定されました。
3月11日に起きた東日本大震災の影響で、今までローンを組んでいた人達は返済計画がガラッと変わり返済する為の借金、つまり二重ローンに苦しむ人々が増えました。特に住宅ローンを組んでいた人達は津波で流された家のローンも残っているのに、また新しい借金を背負い人生を再建していかなくてはならない・・・なんとも切実な事態がおきてます。
このような深刻な事態を受け、二重ローンを回避する対策が動き出しました。全国銀行協会などがつくる「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」が8月22日から、被災者の相談の受け付けを始めました。
◎「個人版私的整理ガイドライン」とはどういうもの?
個人版私的整理ガイドラインとは、東日本大震災により、住宅が被災した個人が、住宅再建資金を借り入れた場合、既存の住宅ローンに加え、二重ローンが発生します。
その際に、金融機関等の債権者が一定の要件を満たす個人債務者に対し、破産等の法的整理によらず、私的整理による債務免除を行うことで生活再建を支援しようとした場合の、その私的整理を行う際のルール等が定められているものです。
簡単にいえば自己破産なんですね。通常、自己破産をするには弁護士費用がかかったり、信用に傷が付き、その後の人生に不都合な事があるわけですが、今回の個人版私的整理では費用は免除され、信用にも傷がつかない(ブラックリストには載らない)というメリットがあるというのが通常の自己破産との違いになります。なので、その後また住宅ローンを組む事は可能になります。
◎ローン全額が免除されるの?
あくまでも私的整理なので、今持ってる資産を売却してそれでもまだ負債が残る場合、その負債が免除になります。
◎住宅ローンだけが対象なの?
住宅ローンだけではなく、車のローンやクレジットのローンも対象になります。しかし、通常の自己破産と同じようにギャンブルや浪費による借金は免除されません。
これらのガイドラインを利用するには要件が数多くあり、利用したほうが得なのか損なのかはそれぞれの資産と負債の状況によって変わってきます。必ず専門家に相談してから決めましょう。
詳しくは 一般社団法人 「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」に問い合わせてみましょう。
被災しなかった人達も、今後もこのような不測の事態が起きる事があると肝に銘じ必要以上の借金はしないようにしましょう。そして、どのような事が起きても自分達は大丈夫というような危機管理や家計のあり方を学ぶ必要性があるのではと感じます。
この記事担当のFP
二宮 清子 にのみや きよこ
日本FP協会会員 ファイナンシャルプランナー(AFP)
家計の見直し・節約・貯蓄の重要さ、更に運用の必要性を伝え、
強い家計にできるようにサポート、また住宅ローンアドバイザーの資格も取得し、
住宅購入をきっかけにお客様のライフプランのアドバイスを行っている。
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