答えて応えて!FP

第193回 ブラックリストに載るのはどんなとき?

「ブラックリスト」という言葉は、よく聞きます。世間では、借金の返済が遅れたら名前が載ってしまうと思われている謎のリスト。本当にそんなリストがこの世にあるのでしょうか。実はブラックリストというものが実際にあるわけではありません。個人信用情報機関に「事故情報として登録されている状態」を「ブラックリストの載っている」と表現しているだけです。ブラックリストについて正しい知識を身に付ければ恐れるものではないということがわかります


◆ブラックリストに載ると

  • クレジットカードの申し込み時に審査が通らずにカードが作れなかった
  • ローンを組みたいのに審査が通らずにローンを組めなかった

こんな経験はありませんか?審査が通らなかったのは、あなたの個人情報が信用情報機関に「事故情報」として登録をされている可能性があります。 クレジットカードを作るときの申込書・契約書に記入した情報(氏名、生年月日など)、契約内容などは信用情報機関に登録されます。信用情報機関とは、クレジットカード会社やローン会社などのお客様の信用情報を登録し管理している会社です。信用情報として記録される内容は、契約内容、期日通りに返済しているかなどの利用実績、利用残高などです。これらの情報は、新たにカードを作る時やローンを組むときに、申込者の信用力を確認するため、他の金融機関が参考にする材料のひとつとなります。その信用情報に「事故情報」が登録されていると審査が通らなくなるのです。取引実績に“支払いを延滞した”という記録が残されます。この「延滞」などのネガティブな情報(事故情報)を通称「ブラック情報」、個人の信用情報に”事故情報”が登録されている状態を「ブラック」と一般的に呼ばれます。ブラックリストと呼ばれるデータベースなどがあって、そこに名前がリスト化されているのではなく、個人の信用情報にブラック情報が記録されているだけなのです。これがブラックリストの正体です。


◆ブラックリストに載る原因
ブラック情報とは、「事故情報」のことです。事故情報として記録される主な原因としては次の3つがあります。

  • 延滞

クレジットカードやローンの利用で返済日よりも一定の期間返済が遅れた場合や3回以上、滞った場合


  • 債務整理

民事再生、自己破産、任意整理等の手続きをした場合


  • 代位弁済

契約者が借金の返済ができなくなり、連帯保証人や契約している保証会社に返済をさせた場合 一度ブラックリストの載ると、延滞や代位弁済で約5年間、債務整理では約5〜10年は載ったままになります。その間は、クレジットカードを作ることやお金を借りることは不可能に。「事故を起こした=返済能力が低い」とみなされるからです。


◆ブラックリストに載る影響
ブラックリストに載ったからといって、生活をしていくうえでどんな影響があるのか心配かと思います。端的にいえば、「特に心配はありません。」。就職に不利になる、勤務先に調査される、家族や親類に迷惑がかかる等はありません。事故情報は、金融機関の中だけで開示されますので、影響は個人の金融に関することだけに限定されるのです。社会的な影響は心配する必要はないでしょう。


◆携帯電話料金未払いに注意
最近は、スマートフォン等、携帯電話料金の未納でブラックリストに載るというケースが増えています。現在普及しているスマートフォンは、高額なため分割して毎月の通話料と一緒に支払う方が多いと思いますが、分割で購入した場合、毎月の通話料の支払いを延滞したことで信用情報に事故情報が載ってしまうのです。なぜなら、毎月請求される通話料の中には、携帯電話本体代が含まれているため合わせて延滞となり、ブラックリストに情報が載ってしまうからです。実質0円というプランで購入していたとしても、携帯電話本体代から割引されているわけではなく、毎月の電話通話料が割引かれているため、本体代としてはきちんと請求されています。物を分割購入して支払いを一定期間行わないと信用情報機関に登録されるのと同様、携帯電話通話料の延滞も、事故情報として登録されてしまうのです。少額でも2〜3カ月滞納すると事故情報として登録され、5年間は情報が残るので注意が必要です。

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この記事担当のFP

菅田 芳恵 すがた よしえ

2005年 グッドライフ設計塾開業。
CFP(日本FP協会上級フィナンシャルプランナー)、
1級FP技能士として、コンサルティングや執筆、講演活動で活躍中。


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